パラモーター・ランディング:ギアダウンなし!?
20回を超えたフライト数だが、ランディングがまったく巧くいかない。両手両膝をついてしまうが、その姿を「土下座ランディング」と言うらしい。自分のビデオを見直してみると、確かに土下座しているように見える。なんとも情けない格好である。正直なところ、両足で立てたのは数回のみ。まさに着陸用ギア(車輪)を下ろさないで胴体着陸しているようなものだ。
そこで今回は、以下の点に気をつけながら、アプローチとランディングの練習とした。
1.ウインドソックスで風の向きや強さを確認すること。
あまり横風の要素が強くなると、風向きに対してブレーキコードを引いて着地点への進路をまっ直ぐに保つ必要がある。
2.アプローチで左右に振れるローリングを避けること。
そのためには、直進を保ちながら、左右のブレーキコードをオーバーコントロールしないこと。
3.着陸態勢をつくるために座面から尻を前に外し、足をしっかりと垂れることが重要。
これら3点に留意しながら、5回のアプローチを試みた。
パラモーター・ランディング1回目 タッチアンドゴーを目指して
1回目は、風もほぼなく、着地8秒前くらいは前からの映像で足が下りているように見える。しかし、真横からの動画では、着地直前は完全に座っていて腿は水平になっている。ブレーキコードも胸より下に引き下げているので、1,2歩でも接地をと考えたが、座面から体を前にずらして足が十分に下りているように感じなかったので、迷わず復航を決めた。
周回飛行とローパス
場周飛行は、風が比較的安定していたので、低高度で高さとスピードと直進性を一定にするよう心掛けた。このラムエッティ大崎の離着陸場は有効エリアが約25m×約50mとそれほど広くはない。南西と北西に面した方は、周囲の田んぼから2.5mくらいかさ上げされている。それを考慮に入れて、飛行高度は少し高めの10mくらいに保つ。
本当は、地上1mくらいのローパスをやってみたいが、離着陸場が高くなっていることを言い訳にやっていない。動画を見る限り、少なくとも上下動が激しいわけではないので、スロットルワークが安定していると思われる。ダウンウインドからベース、そしてファイナルアプローチへの旋回も安定している。
パラモーター・ランディング2回目 低高度アプローチのためのローパス
ダウンウインドと同じ約10mの高度を保ってベースからファイナルだが、小さい方の動画で分かる通り、離着陸場の南西境界線に近くなっている。これは、少しでてきた風の確認とローパスの練習のためだ。この時点では、10回くらいはアプローチ練習をしようと考えていた。
ファイナルディシジョンでの迷い
着陸エリア3分の2を過ぎたあたりでエンジンをアイドリングにして、頭と胸を前に突き出し、ブレーキコードを身体の後ろに引き下げるようにフルフレアしていれば立てたかもしれない。が、実際はあっという間に飛び越してしまっていた。ただ、着陸エリアが残り少ない時点で高度が1mくらいガクッと落ちたのは、ファイナルディシジョンと呼ばれる最終的に着陸するかどうかの心の迷いがスロットル操作に影響したと思われる。
パラモーター・ランディング3回目 あわや場外着陸!?
1回目とほぼ変わっていない。正面からの遠目には足(膝から下だが)が下りているように見える。しかし、腿は水平を保ったままになっている。それでも本人は足が下りていると錯覚したようで、降りようとしていた。たまたま右から1.5m/秒のクロスウインドが吹き始めていたこともあって進路維持のために右ブレーキコードを引き過ぎた。そのために進路が右にそれ、着地したとしても着陸エリアから飛び出し、2.5m下の田んぼに落下するのではないかとの恐怖心が先に立った。
0.5秒遅れのファイナルディシジョンで軟着陸回避
小さい方の動画をみるとその気持ちもわかる。そもそも座っているのと変わらない姿勢だったので、足先だけを上げてフルスロットルとなった。降りないという意思決定が0.5秒遅れていても、もっと酷い尻餅で軟着陸していたと思われる。「ザーッ」というエアバッグのすれる音を聞きながら、ヒヤッとしたの復航だった。
パラモーター・ランディング4回目 侵入高度とスロットルワーク
それまでとは異なり、3倍くらい高めのファイナルアプローチを試みた。侵入高度 (角度)を変えたのは、パワーを使ったスピードのあるアプローチではなく、低速でふんわりと両足を接地してみたかった。自分の場合はスピードが遅い分だけオーバーコントロールになりがちだが、4回目ともなると何とか両足でのタッチダウンに持っていきたいと強く思った。動画に明らかなように、足がまったく下りていない。結局スロットルワークによる高度処理に失敗して着陸エリア内で充分に高度を下げ切れずに復航となった。
場周飛行中の熟考
場周飛行をしているほんの数分間にも色々と考えているが、考え過ぎているのかもしれない。この時の場周飛行はかなりカットしているが、実際は通常の倍くらい長めに周辺を飛び回り、いろいろと考えた。足の下りし方、アプローチ高度・スピード、風向きなどなど次々と頭に浮かんできた。しかし4回の失敗から自分自身の不甲斐なさにがっかりして、最後の5回目のアプローチで着陸することにした。
パラモーター・ランディング5回目 定番化、常態化した「土下座」
5回目は、1回目のウインドソックスとは違い、右からの風に角度がついているのが分かる。そのためかなり左に寄せたアプローチにした。オーバーコントロールが課題の一つだったが、左右のブレーキコードを交互に必要以上に引き過ぎている。結果として、特に着陸数秒前に左右に振られている。着地はエアバッグ、両足のかかと、尻の順で着地しており、勢い余って身体が前のめりとなった結果、お決まりの「土下座」ランディングとなった。
次回のフライトではレッグストラップを少し緩めてみる
頭の中では「足をしっかり降ろして」と分かっているのだが、実態が伴っていない。この動画を見た方で、アドバイスなどあれば教えて下さい。このままだと続ける気持ちさえ揺らぐのではないかと感じているので、次回はレッグストラップを少し緩めてみようと考えている。
小林 明
Akira Kobayashi
About the Author
1953年、広島県比婆郡(現庄原市)に生まれました。趣味は、映画鑑賞、パラモーター、セスナの操縦(免許はシンガポール大使館在勤中に取得)、スキー、居合道(全日本居合道連盟五段)等です。本職は明治大学で留学や国際教育について教えています。多様な海外留学・活動プログラムを企画実施したり、学生にアドバイスすることも大切なことです。