初フライトの感激!!

その瞬間は、突然やってきた。足が地面から離れた瞬間はあまりの感動に、空中に浮きながらも頭の中は真っ白だった。

初フライトの感激!!

2020年8月19日16時40分頃からの15分間のフライトだった。場所は、Japan La Mouetteの大崎練習場。南西の微風と南の中風との間で揺れる少し不安定な風の中、比較的得意なクロスの立ち上げで挑戦した。以下の説明は初フライトのテイクオフ直前の格闘の模様をビデオで確認しながら書いている。

2回の不十分な立ち上げでグライダーを下ろしたが、3回目になんとか頭上まで引き上げ、水平に安定したと感じたタイミングで左回りに身体を回転させ、前を向いた。その瞬間から左手に持つスロットルレバーを少し引きながら、7,8歩前に進んだ。風には正対せず、少し左向きに進んでいたようだ。

10歩目くらいの時か、突然身体が大きく右に引っ張られ、今度は逆方向に7,8歩ドタバタと移動した。この時点で、頭の中では「中止、中止!」という声と「負けるな、まだ、頑張れ!」という声が交錯していた。

思い直して右のブレーキコードを引きながら何歩か左に移動すると一瞬、左右どちらからの引きも感じなくなった。「パワー、パワー!」という荒井さんの無線による声でスロットルレバーをもう少し深めに握りしめて前に進もうと身体を前傾して小走り程度に進み始め、10, 11歩走ったところで足が地面から離れた。走りはじめを見ると、エンジンに押されているというよりも両手と身体で引っ張ろうとする無駄な動きが見える。スロットルレバーをフルパワーまで握ったのはやっと離陸の数歩前だったようだ。

初フライトでは、右回りの飛行で、荒井さんからの無線の指示が聞こえなくなると、練習場の南西に広がる田園の上を旋回しながら少しづつ高度をあげた。たぶん200m程度だっただろう。空中では眼下の道路や田んぼのあぜ道にそって真っすぐ進むようにブレーキコードを調整した。

ビデオで確認すると最後の離陸ランに入った後もグライダーは少し左に傾いているが、反対側の右手でブレーキコードを引き下げているのが分かる。ここまでくると無意識でしかなかった。ましてや、上を見てグライダーの位置を確認する余裕など全くなかった。ちなみに着陸は足を下ろすのが遅く、左右にロールしたため不安定な着地となったが、無事に初飛行を終えた。

荒井さんからもう1、2回どうかと言われたが、その日を最高の思い出で締めたかったので断った。この一連のドタバタ劇と離陸後に見た黄金色に実った稲や筑波山の姿などの景色は、一生記憶に留められるだろう。Happy Flight!!

akira kobayashi

小林 明
Akira Kobayashi

About the Author

1953年、広島県比婆郡(現庄原市)に生まれました。趣味は、映画鑑賞、パラモーター、セスナの操縦(免許はシンガポール大使館在勤中に取得)、スキー、居合道(全日本居合道連盟五段)等です。本職は明治大学で留学や国際教育について教えています。多様な海外留学・活動プログラムを企画実施したり、学生にアドバイスすることも大切なことです。